遥か南の水平線より、生暖かい湿った風が吹いてきます。 しばらくすると雨。 夏の残りはまだあります。
8月も下旬に入ったこの頃。 まだまだ暑さは真っ盛りなのに、ふと木を見ると葉の色が変わってきているものがありました。 スズメが、隠れる葉の様子を伺っていました。
松の木の間からもれた日差しがある野草を照らしました。 花もない目立たない草が一瞬の脚光を浴びた瞬間です。 周りで称賛する人は誰もいませんが、クールに見えた時でした。
鉛色の空。もう見飽きてしまいました。 朝の青空。水たまりに映る木たちも日の光を喜んでいました。
「ジージー」 申し訳なさそうに暗い中、セミが鳴いていました。 「最近は大声で鳴くこともできないなあ。」 長い間土にこもっていた間に、生きづらい世の中になっていました。
強烈な黄色を発生しているヒマワリモドキ。 クモが恐る恐る、中心へ向かっていました。
木もない砂浜。 どこから来たのか、葉っぱがいました。 季節外れの北風が、冒険家の葉っぱたちを運んできました。
砂を集めて、波に洗われます。 しかし、想いでと友情は残ります。
砂浜の上をハクセキレイが走っていました。 砂に沈む前に足を動かして、すばやく移動。 飛ばずに走るのが意地を張っているようでした。
シトシトと梅雨のような雨が降る海水浴場。 力のない波が、岸辺でなんとか崩れる音を出していました。 誰もいない海の家が人を恋しがっていました。
港町のお祭り。西と東の二隻の船で競い合います。 しかし、今年もお祭りは無し。 来年3年越しで競うことができるか。長いお預けです。
街を歩いていて、ふとある標語に目が止まりました。 「すこしは人生で、意味のあることがしたいなあ」
川でもない、水辺のないところにサギがじっと止まっていました。 補色で周りには気がつからないと思っていますが、身体の大きさで何よりも目立つ存在でした。
長い情熱のもとにオリンピックは終わりました。 後世の記憶には、どのシーンが語り継がれていくのでしょうか。
連日、暑さのことで頭がいっぱいの毎日。 ふと気がつくと、もう暦では秋が始まる時期になっていました。 そっと、コスモスの花が時を告げていました。
どこまでも延々と続く砂丘。 ひとつの山を越えても、けわしい頂がまだまだ続く。 水筒を道連れに、少しずつ制覇しました。
海岸のサイクリング道路。日の照り返しで40°Cは越えています。 入道雲がかかった富士山が、暑いと一言言っているのが聞こえてきました。
真夏の日差し。砂浜に寝転び浴びたい。 しかし、人と密にはなりたくない。 歓喜の声が聞こえない海辺の夏です。
あと数十メートル・・・。 かんかん照りの歩道をひたすら歩きました。 肌は焼け、頭は熱でもうろうととする中。たくさんの水が溜まったオアシスが、意識の先に見えてきました。
8月の空気の燃える空。あまりの暑さに生き物も弱ります。 サルスベリだけが、青い空を悠々と眺めていました。
白いユリ。 四方八方に花を広げ、音ではなく香りを鳴らしていました。
黄色と黄青色。ゴール前のフリーキックになった時が出番です。 壁はストライカーを押さえ込みます。
クラゲのようにフワフワと。 通勤電車は、舞うようにゆっくりとホームへ入ってきました。
かつて、近代的な集合住宅として、団地がありました。 立体的に家族が住んでいる上の階に、また家族が住んでいました。 いつしか人がだんだんと住まなくなり、取り壊されていきました。 響き渡る子供の声も、今は遠い昔になっていました。
連日の暑さの中、空気は湿気を帯びていますが、雨葉降りません。 日が傾いてきた頃、薄いかすみのようなものが現れました。しかし、まだ雨は降らしませんよと空が許してくれませんでした。
静かに焼けるような暑さの午後の海岸。 遥か遠くに入道雲が湧いていました。
花の茎に止まったまま。 我慢出来なかったのでしょうか。中のセミは脱皮してしまいました。 まさしく、もぬけのからでした。
熱帯夜が明け、気温が下がる間もなく、青空の中、ちぎれ雲が上空の風に流されていました。 「ちょっと暑いなあ」 切られすぎた木が、頭のところに葉を生やしていました。
夏の日照りの朝。長い間待っていたミニヒマワリが咲きました。 まぶしい太陽も、必死に顔を向けて光を吸収していました。
広大な畑。ネギとサツマイモが整然と並んでいました。 灼熱の中、どちらも覚悟を決めて乗り越える心構えがありました。