2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧
松の枝の間から、月が顔を出しました。 気がつくと、空のどこかから見ている月。ちゃんと見守ってくれていました。
活力みなぎるススキ。 目を覆うほどの夕日に穂を照らされながら、明日の希望を想い浮かべていました。
アルファベットのYがありました。 あまり気にしない草むらに、ビスケットのように、ひっそりとありました。 他のアルファベットのあるのかなあ。 地べたの草をA,B,C,・・・唱えながら見渡しました。
河原のススキ原。日が暮れました。 昼のぬくもりから一変して、寒い空気がただよってきました。 「さあ、もう帰ろう。」 富士山が帰宅をうながしました。
落葉樹が冬の準備に入る中、竹は青々と太陽を浴びていました。 しかし、寒くなっていくのは嫌。竹は、否定しながら小春日和を楽しんでいました。
山のふもと。灯りが恋しい季節に庭園の紅葉がライトに照らされていました。 この時期だけの下からの光。紅葉は、ステージに上がった気分で訪れる人たちに演目を魅せていました。
天正17年(1589年)。 土の堀にいました。たくさんの矢や石が飛んでくる中、必死に走り抜けました。 今は、静かに当時を想い出すだけ。落ち葉が跡を埋め尽くしました。
盆地を囲む山が色を変えてきました。 葉の色を緑から別の色へ。冬じたくを始めるように、山の色も変化させていました。
人が住まななくなった庭園の柵に、どこからかつるが伸びてきて、巻きついていました。 どんな環境でも適応できる。野生の植物たちは自信を持って黙々と行動していました。
ギラギラと雲の合間を太陽が降りていきました。 明日も来るから。約束して太陽は行ってしまいました。
岸壁のすぐそば、使われなくなったコンクリートの建物がありました。 強風を避けるため、崩れた壁に身を隠しました。 「こんなところまでよく来たね。」変色した壁は、岩に同化するまで人を待っていました。
幹からあっという間に枝分かれしてしまいました。それぞれの方向性に自信があったのでしょうか。どの枝も主張していました。
ドレミファソラシド。 打ち寄せる波に音符が並ぶように、手をつなぐ人たちがいました。 海はメロディーに伴奏をつけているように、何度も波を送りました。
30キロ先、神が降りていました。 「こんにちは!」 声をかける間もなく、天へ昇っていってしまいました。
長細い公園の一画、線路が残っていました。 二十世紀、確かに駅があり1日何本かの列車が通っていました。 もう、人は戻ってこないの? 二本の平行な鉄は悲しそうに、その土地に根を下ろしていました。
川の水面が青空を映していました。 静寂な油絵のような世界に、カモたちが入り込んでいきました。
春夏秋冬。四季をめぐるごとに輪が広がっていきます。 あの時は暑かった年、寒かった年。歴史年表のように木は語りました。
岸の間際で大きくなる波を横切るサーファーがいました。 ほんの数秒、波と一体になる。自然に抱かれている感覚がサーファーを孤独から開放しました。
ウィスキー色の空に、ススキが揺れていました。グラスの中の氷のように穂が白い透明な色に見えました。 太陽が飲みほしてしまうのでしょうか。
地下道へ陽が差し込みました。 買い物へ急ぐ人。いろいろな人の往来を「どこへ?」とも聞かず、見守っていました。
柵を破り、山を降り、遥か彼方へ鳥が飛び立ちます。 街を越え、川を越え、田を越え、海を越え・・・。楽園は何処へ。
夕日が紅葉してきた個所を照らしました。 木々が色を伝える間もなく、夜のとばりへと時間が移り変わりました。
ホバリングしているホシホウジャクがいました。長いストローの口でリンドウの花を探しています。 「美味しい蜜はどれかなあ」 花を眺めながら考えているようでした。
着物の柄になりますか? 薄い赤色をつけ始めた紅葉が語りかけてきました。
秋、冬へ向かう道中、アジサイは次の初夏への準備を始めていました。 一旦身にまとった葉っぱの洋服を捨てて、次は何を着ようかと考えているようでした。
長年の風雨により、顔がなくなってしまった石仏がありました。後ろからツワブキの花が心配そうにのぞいていました。
樹の下で目を閉じました。風の流れる音、香り、空間の存在を感じました。 目を開けると、葉っぱたちが感覚を研ぎ澄ますことができたかと語りかけてきました。
日が沈み20分後、一瞬夕焼けになりました。 西より赤い色が現れた後、ほんの数分七色の空に変化しました。 天空ではオペラの上演を楽しんでいました。
モズが鳴いていました。 穏やかな昼下がり、小枝につかまり、独りでなにかを喋り続ける。 その話を山の木々たちは、うなずくながら秋の場面と聴き入っていました。
日本の大動脈、新幹線。 川を越え、ようやく田園地帯を本気でスピードを上げて走り始めました。時速200km/h。 地上で誰も私には追いつけないだろう。大きな自慢をしていました。