2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧
大きな藁葺き屋根。100年以上昔から何回も春を迎えてきた民家がありました。 いろりの煙にいぶされた匂いと、ほのかな桜の香りが、時の経過を忘れてさせてくれました。
土の堤防を歩く。 山からの冷んやりした風と暖かい太陽が混じる。ジャンパーを着るか脱ぐか迷う嬉しい気温が、どこまでも足を動かしました。
ずっと枯れ茶色だった水辺。 春の到来。黄色い原色が空気の色をも変えていました。
川の中洲に、電気スタンドがいました。 誰か勉強でもしているのか。 魚たちが、夜に本を読むのかもしれません。
目に飛び込む淡い桜色。 綿のような花のかたまりが木についていました。
青空。陽の光を浴びながら少しずつ花を開いていきました。 寒さの縮籠りももう解禁です。
分厚い重たい波が、岸近くでロールを巻きました。 パイプライン。この中に入ると不思議な静寂が訪れます。その後、海水に巻かれて上下左右わからなくなることになりますが、この空間は一瞬でも時間が止まった世界を経験させてくれます。
山里にひっそりと咲いていました。 花を見つけた鳥たちが、ほんの数日の宴を楽しんでいました。
強固な石段を作っても、風が吹けば砂に埋もれようとします。 一粒は軽くても、油断をするとそれが一体となって覆い尽くす砂は、飲み込むように好きな形に変えて頑固なものを包む力を持っていました。
暦では、いよいよ春になりました。 寺のそばの畑には、花が順番を待たずに咲き始めました。
草がおおってきた地面。 こっそり春を始めている花がありました。
足下に、小さな花を見つけました。 少しの風でもプルプルと揺れていました。 音があれば鈴のようになるのかもしれません。
遠い西の砂漠から、細かい砂が飛んできました。 薄いベールを被ったように、夕焼けが淡い黄色になりました。
昼の日差しを椿が浴びていました。 春の淡い光の色が、花を光らせます。
カワヅザクラ。 少し遅れたつぼみが開きました。 出遅れても、美しさには変わりありません。
春の匂いがしてきました。 花の主役をとられる前に、コブシの花が先に咲きました。
嵐の去った翌朝。山が雪で白くなっていました。 たまには化粧をした姿を見て。 富士山は語っていました。
青の信号。 ほんの数分の車の停止している時間、路上の人々が横断していきました。
川の流れが静かになったとき。 白鷺が羽を広げ、水面に姿を映しながら踊り始めました。
斜陽の中、地面に椿の花綸が落ちていました。 木には、はちきれんばかりに花が開いていました。 綺麗な花でも、木から追い出されてしまうこともあります。
つぼみから少しずつ、花が開いてきました。 まるで準備していた仕掛けが、順番に催して行くように進んでいました。
キー、キー。 空気を切り裂くような声で、ヒヨドリが鳴いていました。 椿の花の蜜、甘そうにクチバシを動かしていました。
濃い桃色が目に飛び込んできました。 花は完全に開くわけではなく、下へ垂れ下がっていました。 街中、少しずつ命が吹き返してきた感じの空気が漂ってきました。
少し暖かくなった次の日。寒の戻りの中、大島桜が開花していました。 もう、春が来たと思い花を開いたところ、実はまだ寒かったという偽りにあい、苦笑いをしているようでした。
少し日差しの温もりを感じたかと思うと、まだまだ冷たい風。 椿が春に向かっている光を浴びながら、寒空に耐えていました。
電線が街中に廻らされた平地。 雪に覆われた富士山が高みから網の目を見ているようでした。
空の直線と陸の直線。 どちらも歩く速度を超えていました。
目的地へ向かって進む飛行機。 まるで誰も踏み入っていない雪山を、ひとりでシュプールを描きながら滑っているようでした。
雛人形が飾られていました。 3月3日。人の気配が少ない中、御代理様とお雛様を五人囃子たちが賑わいを与えていました。
富士山より高いところを飛行機が通過していきました。 1年前は気軽に乗って、見知らぬ国へ迷い込んでいましたが、今は一番遠い乗り物になってしまいました。 心の中の距離は、とても遠い夕方でした。